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「管理部門だけど管理部門じゃない」—— 経理・財務の枠を超えて事業を加速させる、RightTouchのアクセラレーターが目指す新しい組織の形

管理部門の役割を超えて、自らの専門性を活かしながら事業全体の成長を加速させる。それがRightTouchのバックオフィス、「アクセラレーター」です。

大和証券での営業職を経て会計士へ。監査法人や事業会社でCFOを務めた後、RightTouchのアクセラレーターとして活躍する星雄翔(mario)。彼はなぜRightTouchを選んだのか、そしてRightTouchにおけるアクセラレーターとはどういう存在なのか、話を聞きました。

<プロフィール>
星 雄翔(mario)
2009年に大和証券株式会社に入社、名古屋支店で営業職として従事。その後、早稲田大学会計研究科に進学し、有限責任監査法人トーマツ、株式会社KPMG FASを経て、スタートアップ企業で経理・ファイナンスに従事。IPO準備やM&Aなど、複雑な財務プロジェクトの経験を持つ。2023年よりRightTouchに業務委託として参画し、2024年1月より正社員としてアクセラレーター・ファイナンスに従事。カスタマーサポート領域の変革を目指し、経理・財務の枠を超えた新しい管理部門の形を追求している。

事業・人・やりたいこと、3つの軸でRightTouchへの転職を決意

──まずは、これまでのキャリアについてお聞かせください。

大学卒業後、2009年に大和証券へ入社し、名古屋で営業職として働き始めました。金融への興味はあったものの、特に明確なビジョンを持たずに選んだ就職先でした。しかし、折しもリーマンショックの影響で証券業界全体が大きな逆風にさらされました。

その頃は同時に、会計士資格の需要が高まっていた時期でもあり、友人にも会計士が多く、日頃から有価証券報告書を読むことに親しんでいた私は、「会計の道に進もう」と一念発起。夏から勉強を始め、秋冬には早稲田大学会計大学院の試験に合格しました。

──大学院時代に、現在のキャリアの方向性を決定づける出会いがあったと聞いています。

そうですね。世界的に評価される「柳モデル」を確立された柳良平先生との出会いが、大きな転機となりました。当時の私は会計を「経営の実態を数字に落とし込む作業」程度にしか捉えていませんでしたが、柳先生は違いました。

財務・非財務の両面から企業の成長可能性を語り、投資家に発信していく。その姿勢から、会計には企業価値を高め、届けていく役割があることを学びました。

──その後のキャリアと、RightTouchに転職することになった決め手を教えてください。

監査法人を経て、より実務的な経理業務経験を積むため事業会社に転職。その後はスタートアップの世界に入り、IPO準備やM&Aに携わってきました。そして2023年2月頃、RightTouch代表の長崎から声がかかりました。彼とは以前から付き合いがあり、管理部門の経験が豊富な人材を探しているとのことだったので、まずは業務委託という形でRightTouchに関わることになりました。

当初は期間限定の関わりのつもりでしたが、実際に働いてみると優秀でユニークな人材が多く、事業への可能性も強く感じるようになりました。個人投資で30以上の証券口座を管理している私自身も、金融機関への問い合わせの難しさを実感していましたし、さまざまなカスタマーサポートで感じてきた課題を解決できる可能性を強く感じたんです。

何より「あらゆる人を負の体験から解放し、可能性を引き出す」というミッションに共感しました。一部の人だけが恩恵を受けるのではなく、日本全体でこの課題を解決することに意義を感じ、「この事業を伸ばすべきだ」という思いが強くなったんです。

事業、人、そして自分のやりたいことという3つの要素が最も良い形で重なる場所だと確信し、2023年10月にRightTouchへ本格的に参画することを決意しました。

経理・財務の枠を超えて組織の成長を加速させるアクセラレーターとは?

──marioさんは、RightTouchでどのような役割を担われているのでしょうか。

主に経理と財務です。大企業であれば経営企画と経理で分かれるような事業計画の策定や予実管理も、スタートアップの規模感では経理部門の守備範囲。そのため、財務や経理の実務に加え、グループ間でのファイナンスまで幅広く担当しています。

また、営業チームのミーティングやヒアリングにも同席しています。お客様のニーズや意向、それに対するソリューションの提案プロセスを理解することは、VCや銀行とのコミュニケーションに非常に役立つからです。

──そうした関わり方は、まさにRightTouchで掲げるアクセラレーターを体現しているように思います。改めてアクセラレーターとは、どのような存在なのか教えてください。

RightTouchでは、一般的に「バックオフィス」と呼ばれる管理部門を「アクセラレーター」と呼びます。その名の通り、事業を加速させるために必要なことを考え、実行する存在です。「管理部門だけど管理部門じゃない」というのが一番しっくりくる表現かもしれません。

通常の管理部門は、経理の島、人事の島といった具合に、それぞれが独立して存在し、各部署は自分の担当領域だけを見て管轄すればよいと考えがちですがアクセラレーターはそういった考えは持ちません。事業を加速させるために、自分の知識や経験を活かしてどこで会社やチームに貢献できるかを考え、縦横無尽に動く存在であるべきだと考えています。

「メンバーみんなを300%パワーアップする」というのがアクセラレーターのミッションです。本気で全員の効率を3倍にできれば、私たちは一般的な管理部門を超えた存在になれる。その実現のために、日々「どうすればいいのか」を考え続けています。

「それはアクセラレーターらしくない」と指摘し合える組織文化


──RightTouchのアクセラレーターには、どのような人が集まっているのでしょうか。

私のこれまでの経験と比較して、「攻めの姿勢」が強い人が多いですね。

通常の管理部門は守りの意識からブレーキ役になりがちに思うのですが、RightTouchのアクセラレーターにはできる限りアクセルを踏もうとする人たちが集まっています。もちろん、超えてはいけないラインはありますから、私自身も時にはブレーキをかけることも意識しています。

でも基本的には、リスクを恐れずチャレンジできる人、そして何より事業と組織を本気で良くしたいという思いを持った人たちばかりですね。

──RightTouchのアクセラレーターとしての行動指針を「Accelerator Mind」として言語化したそうですね。なぜ言語化までこだわったのですか?

Mind策定には、代表の長崎、アクセラレーターの山田、そして私の3人で推進していきましたが、その原動力には、各々がこれまでのコーポレートキャリアで経験してきた「危機感」がありました。

少人数の今は、みんなが同じ志を持ちやすい環境にあると思います。ただ、組織が大きくなるにつれて、志が薄まっていく可能性や人によってその濃淡に差が出てしまう可能性もゼロではない。だからこそ、「こういう組織でありたい」という意思を明確にしておく必要があると、これまでの経験から強く感じていました。

特に管理部門は会社の最後の砦になることを重視し、意思決定をする際に「それは無理です」と即答しがちです。でも私たちは「壁があるからやめておくべき」と判断するのではなく「どうすれば壁を超えられるのか、何を取り除けばよいのか」を常に考えます。

アクセラレーターマインドの1つ「なぜダメか より どういけるか」

5年後、10年後も、このマインドを持ち続けられる組織でありたい。そんな思いをアクセラレーターに込めています。

実際、この概念を作ってからは、私たち自身も「それはアクセラっぽくないよね」と指摘し合えるようになり、それが組織の共通言語として根付いてきました。こうしたマインドを持つ仲間がさらに増えていくことを楽しみにしています。

リスクを恐れず、事業を前に。求めるのはアクセラレーターマインドを体現できる仲間

──RightTouchという組織は、marioさんから見てどのような特徴がありますか。

私が経験してきたなかで、最も活発な会社だと感じています。議論が活発で、メンバーの意見発信も活発。どこにいても議論が行われていて、全員が前向きに働いている。その根底は、この会社と事業を本当に好きだと思っている人たちが集まっているからだと思います。

そして、本当に頭の切れる人たちばかり。それぞれが独自の強みを持ち、それを存分に活かしながら事業を推進しています。その姿勢が良い循環を生み、さらにリファラル採用や採用全般の成功につながっている。正の循環が効いているんです。

また特徴的なのは、経営陣の発信の質の高さです。noteなどでの対外的な発信はもちろん、「こういう戦略を立てた理由」「参考にした海外事例」といった具体的な説明が、社内でも頻繁になされています。その発信に触発され、社員一人ひとりが「どういう戦略を立て、どう実行していくべきか」を主体的に考え、活発に意見を交わしている。そんな組織文化が根付いています。

──そんなRightTouchで、marioさんはどんな人と一緒に働きたいですか。

アクセラレーターマインドに共感してくれる人ですね。特に専門職のバックグラウンドを持つ人には、その道のプロフェッショナルであるほどリスクを取ることを好まない傾向があるので、このマインドに「何を言っているんだ」と感じる人も少なくないと思います。

でも、自分の考えを発信できる人、たとえ間違っていても自分の思いをぶつけていける人と働きたい。社内での建設的な議論こそが、アクセラレーターを生み出すと考えているからです。

「私はこう思う」「自分はこう考える」という、それぞれの知見に基づく発信が交わることで、個々の知識や経験だけでは生まれない何かが創出される。それが組織への貢献につながると信じています。

──ありがとうございました。最後に、今後どのような挑戦をしたいと考えているか聞かせてください。

大きく3つあります。まず個人的には、これまで経験していない財務系の業務や経営企画的な活動にチャレンジすること。次に、私の経験を活かせる分野として、複雑なIPOに向けたトライをすることですね。

でも最も重要な挑戦は、RightTouchが目指す社会変革への貢献です。カスタマーサポートにおける負の体験をなくしていくという私たちのミッション。これを実現するために、会社がどう成長できるのか、そして私自身がどう貢献できるのかを日々考えています。

(取材・執筆/大久保 崇)