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RightTouchのミッションを紐解くーー生活者・企業の“フルポテンシャル”が発揮される世界を目指して

カスタマーサポート領域の変革に挑むRightTouchは、コンパウンドスタートアップとしてさらに強固な事業・組織を作り非連続な成長をしていくために、「あらゆる人を負の体験から解放し、可能性を引き出す」をコーポレートミッションに掲げました。

言葉にこめられた思いや意図、そしてこのミッションのもと、RightTouchの事業・組織をこれからどのようにしていきたいのか。代表の野村(以下、nomu)・長崎(以下、taito)と、MVV開発のプロジェクトオーナー/コピーライター佐瀬(以下、james)の3名に話を聞きました。

RightTouch ミッション

「RightTouchはバケツの水をふさぐ役割」ーー本来価値と提供価値のギャップ最小化が、いま求められる理由

――ミッションを紐解くにあたって、まず私たちが向き合う「カスタマーサポート」について、RightTouchとしての考えや、その領域の持つ可能性について改めて教えてください。

taito:カスタマーサポートと聞くと、電話やWebでの問い合わせ対応や、コストセンターといったイメージを持つ方も多いと思います。ただ、僕たちはもっと広義なものとしてカスタマーサポートを捉えているんです。

RightTouch代表・長崎 大都(taito)

james:マイナンバーカードを例に挙げてみます。マイナンバーカードは、うまく活用できれば、生活者も役所の方も手続きや大量の紙書類から解放され、行政サービスの利用が便利で簡単になります。しかし、実際には手続きの問い合わせが必要になったり、個人情報保護の説明が不十分なため、マイナンバーカードの本来の価値は十分に発揮されていないのが現状だと思います。

この例に限らず、個人が利用する生活をより良くするためのサービス・プロダクトが急速に増えるなかで、サービスやプロダクトが持つ「本来の価値(フルポテンシャル)」と、実際に受け取れる「提供価値」の差が、企業と生活者の間でどんどん大きくなっているのを感じています。

生活者がプロダクト本来の価値を最大限享受できるようになるための溝をなくすこと、そのための行為すべてが「カスタマーサポート」だと、RightTouchでは捉えています

nomu:このRightTouch流のアプローチは、1つの喩えとして「バケツの水をふさぐ役割」だと社内では話しています。

RightTouch代表・野村 修平(nomu)

テクノロジーやプロダクトを通じ新たな需要を市場につくることは、この喩えにおいては「バケツに注ぐ水の量を増やす」行為です。この水の量は、技術進歩やデジタル化により、今後さらに加速的に増えていくでしょう。

しかし、水量が増えてもバケツの穴が空いたままでは、どんどん流れ出てしまいます。喩え話が続きましたが、“バケツの穴”に相当し、日々生活者を悩ませる「⚪️⚪️したいけど、できない/分からない/面倒くさい/見つからない」といった「負の体験」を減らし、サービスの可能性を引き出して生活者がより豊かに暮らせるようになることが、私たちが叶えたい世界です。

顧客の先にいる「生活者」を見据えて、BtoB SaaS企業らしくないステートメントをあえて選んだ

ーー今回、ミッションを作ったのは、そうしたカスタマーサポートの本質とより向き合うためということでしょうか?背景が知りたいです。

taito:そうですね。日々、プロダクトを通じて顧客と向き合い続けた結果、カスタマーサポートは「あらゆる業種・業態にとっての唯一の顧客接点である」ということを強く感じるようになりました。

実は「ミッションのようなもの」は、前から存在していました。nomuさんと僕で創業前につくりましたが、当時はとにかく事業を伸ばすことを優先し、社内で適切に策定・浸透させる優先度を下げてしまっていたんです。事業を伸ばすことに集中するあまり、「何のために我々はこの事業をやっているのか」という思考を、私たち経営陣が正直怠っていました。

james:当初のミッションは、自分たちの事業の成り立ちやBtoB SaaSであることから、顧客として一次的に接触する「エンタープライズ企業」への向き合い方に焦点を当てた表現にしていました。

当初掲げていたミッション

ですが、「自分たちはなぜこの事業・会社をやっているのか?」と社内で何度も議論し、また顧客と向き合って各業界を変えていくような取り組みが深くなる過程で、最終的に作りたいことは顧客の顧客、つまり「生活者」に対する価値提供やインパクト創出にあると気付かされました。

この気づきを根っこに置いて、ミッションは直接的な顧客(toB)だけでなく、最終的な価値の享受者である生活者(toC)までを見据えるものにアップデートしました。BtoB SaaSの事業者としてはtoCまでを意識したミッションステートメントは少し珍しいかもしれません。

MVV開発のプロジェクトオーナー/コピーライター・佐瀬 ジェームズ幸輝(james)

「負の体験」のない日常をみんなの当たり前に。RightTouchが実現したい未来

――新しいミッションを掲げ、今後RightTouchはどのような価値を提供していく存在を目指しているのでしょうか。

taito:目的を達成できずに困っている負の体験がない日常を、すべての人の当たり前にしていく存在になりたいですね。

大きな変化をつくる、その実現のためには段階があると思っています。まずは、Web上でも「人」が対応するのと遜色ないサポート品質の提供を実現可能にし、電話に問い合わせる前のお困りごとを、Webだけでも解消しやすい状態にするのが足元で行っていることです。次に、いわゆるコールセンターをはじめとしたカスタマーサポート全体の変革。複数のシステムが絡み合うなかで、デジタル化の進んでいない業務フローの整備やデータの利活用促進、現場で得られた生活者からの声を生かす仕組みづくりなど、サポート業務の本丸に深く入り込んで変革を進めていく必要があります。

そして、その先にあるのが、さまざまな「負の体験」からの解放です。この段階になると、展開する事業形式もBtoB SaaSに限らないかもしれません。サービスやプロダクトの持つ本来価値を届け、生活者が本当にやりたいことに打ち込める社会をつくることが、段階を踏みながらも長期的に実現していきたい世界です。

ーーカスタマーサポートという接点を通じて企業や生活者に生み出すことのできるインパクトの大きさにとてもワクワクします。

nomu:データでも、カスタマーサポート体験の改善・向上が企業の業績にも大きな影響を与えることが立証され始めていて、製品やサービスそのものだけでの差別化が難しい競争環境で、企業におけるカスタマーサポートの地位・役割が向上する追い風は、どんどん吹き始めています。

企業やサービスに対する噂・レピュテーションは、悪いものが良いものの3倍広く伝わります(左図参照)。また、困りごとを感じても行動や問い合わせをせず諦めてしまう「サイレントカスタマー」は、実に96%(※)にのぼります。一方で、既存顧客の維持は、新規獲得の5分の1ほどに抑えられるというデータもあります(右図参照)。
※参照元: グッドマンの第一法則

顧客体験の毀損が、どう経営・事業数値に影響を与えるのかが見える化されてきたことで、それまで捉えられていなかった自社顧客が抱える「負の体験」に企業自身が気づけるようになっています。カスタマーサポートを通じてより良い顧客体験の提供ができれば、プロダクトの価値や可能性をこれまで以上に大きく引き出すことにつながり、事業成長にも大きく貢献できるはずです。

james:ミッションに「カスタマーサポート」という言葉は入れませんでした。僕たちの事業領域はカスタマーサポートですが、それは現在のカスタマーサポート産業だけに留まりません。「負の体験」という言葉で、それを通じて想像できる広がりや自分ごと化が行いやすくなったらいいなと。

社内外の一人ひとりが頭に浮かべる負の体験、その範囲の多くは僕たちが最終的に解きたいことでもあるからです。また、「可能性を引き出す」という表現には何度も議論をしてこだわった末に行き着きました。「負の体験からの解放」だけでもミッションは成り立つのにあえて入れているのは、RightTouchが顧客と共にカスタマーサポートをどう変革したいかの意志が込められているからです。

カスタマーサポートがコストセンター部門と捉えられやすい傾向や構造があるなか、事業の売上・利益貢献や新事業への気づきなど、企業にとっての未来につながる側面を持っているというポジティブで唯一の顧客接点であるという役割を伝えたかったことも背景にあります。

自分たちの存在意義と社会的価値に立ち返る基盤としてのミッションとRightTouchのこれから

ーー新しいミッションはこれから深くRightTouchに根付いていくと思います。社内浸透はどのように考えていますか?

taito:ミッションは一言一句覚えることが目的ではありません。

メンバーそれぞれが持つWillとRightTouchのミッションの重なりにふと気づき、仕事の目的や意義を内在化できる体験が日常の中に多くなればなるほど、自律的な組織にできると考えています。また、ミッションとして掲げた「我々の活動の意義」で仲間を増やすことができれば、「事業の調子の良さ」だけに依存せず、事業の踊り場が来たとしても踏ん張れる強い組織にもできます。

個人やチームのWillや内面で考えていることにきちんと向き合って対話し、それをどうミッションと接続できるかというサポートをしていくことで、メンバーそれぞれが内面からの意思やRightTouchでやる意義をより腹落ちしやすくなり、結果ミッションをベースにした行動や思考が全体で深まっていくと思います。

james:RightTouchで大事にしているマインドの一つに、「Backcasting」つまり数年、数十年後の未来から逆算して動くというものがあります。プロダクトを作っていく過程であるべき未来を議論する際に、さまざまな意見や打ち手が出てくることもあると思います。そうした明確な正解がない時の指針としてミッションを置き、意思決定を重ねていくことで、ミッションを体現する思考やマインドが何なのかといったことが可視化され、カルチャーの浸透がいっそう強くなっていくのではないでしょうか。

ーーミッションができたことで、生まれた変化はありますか?
nomu:1つの具体例として、Slackに #experience というメンバー一人ひとりが日常で遭遇した「負の体験」と「良い体験」をシェアするチャンネルができました。カスタマーサポートに限らず、広義の実体験を共有しているので、ミッションの自分ごと化は日常的にしやすくなったかもしれません。負の体験については、「どう自分たちの事業で解けるか?」をみんなで時間を取ってディスカッションすることもありました。

#experience チャンネルの様子

taito:顧客に対して、一歩踏み込んだ提案や発言をできるようになりました。例えば、商品の解約率を下げたり、問い合わせを劇的に減らすために、Webなどから問い合わせ先の電話番号を極端に隠すといった施策を行っているケースがありました。顧客の短期的な数値達成を推進する立場なら、そのままにしておくこともできたかもしれません。ですが、私たちは「負の体験から解放する」というミッションに立ち返り、この施策を続けたままにする社会的な影響の是非を考え、顧客に施策の見直しを提案しました。「企業/生活者/RightTouch」の三方良しでなければ価値は継続しないと思いますし、私たちの存在意義に照らし合わせた判断や行動ができ、結果として顧客からの信頼もさらに高めることができました。

james:ミッションが、日々接する顧客(toB)の先にいる生活者(toC)を見据えているので、企業が自社顧客に対して抱える課題の解像度を上げる意識がさらに高まったと思います。これは顧客が抱える「負の体験」を見つけることにも繋がり、この解決はすなわちRightTouchとしての新たな事業機会の発見にも通じます。事業開発を主軸に置くメンバーに限らず全員が、ミッションを通じてこうした視点を持てる土壌がつくれたことは大きな変化だと感じています。

nomu:経営陣としてはより広い視野で戦略に関する議論を行うことができるようになり、同時に個々のメンバーが自律的に判断して動くということが、より機動的になったと思います。ミッションという、中長期の未来にあるべき社会や、私たちの存在意義に関する共通認識が生まれた結果の産物ですね。このバランスをうまく活かしつつ、より強固な組織・事業をつくっていきたいと思います!

RightTouchは仲間を大募集しています!

「あらゆる人を負の体験から解放し、可能性を引き出す」のミッションのもと、カスタマーサポート領域の変革を推進していくために、さまざまなポジションで積極的に採用を行なっています!興味を持った方がもしいたら、ぜひ気軽にお話しさせてください。

(ライター/大久保 崇 取材・編集/緒方 祥子)