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センターピンを立て、自らスタンスを取れる事業責任者になるために。30人のマネージャーを辞め、1人のプレーヤーとして飛び込んだRightTouchでの挑戦

株式会社RightTouchは、カスタマーサポート領域向けのWebサポートプラットフォーム「RightSupport by KARTE」「RightConnect by KARTE」などを提供する、株式会社プレイドからスピンオフしたスタートアップです。

今回話を聞くのは、安中萌貴(moechan)。SaaSメガベンチャーである株式会社マネーフォワードで、IS(インサイドセールス)チームのマネジメントやマーケティングを経験した後、RightTouchに飛び込みました。マネジメント経験者がいちメンバーとしてフラットな立場をなぜ選んだのか、RIghtTouchでの経験が事業責任者のキャリアパスに、どうつながると考えているのか、その視点を探ります。

<プロフィール>
安中 萌貴(moechan)
青山学院大学 国際政治経済学部を卒業後、マネーフォワードに新卒入社。クラウド型ERP「マネーフォワード クラウド」のインサイドセールス・マーケティングに従事した後、インサイドセールス組織のマネジメントを務める。奥泉・増田の事業にかける想いに感化され、2024年3月RightTouch入社。現在はセールス・マーケティングを幅広く担当。サッカー好きの元水泳部。

より広い視野を持って事業に貢献できる環境を求めて転職

――まずは、これまでのキャリアについて教えてください。

内定者インターンを経て、新卒で株式会社マネーフォワードに入社しました。在籍した7年間で、BtoBマーケティングとインサイドセールス(以下、IS)の領域を主に担当し、3年目にはISチームのマネジメントも兼任、最終的には副部長として30名ほどの組織のマネジメントやKPI戦略の立案などに注力しました。

――それから転職を考えたのはなぜですか。

ISチームのマネジメントにはやりがいを感じていましたし、マネーフォワードという会社や一緒に働いていたメンバーは当時も今も大好きなんですが、「もっと幅を広げたい」という気持ちがどんどん膨らんで。

一つの職種だけでは、自分たちのKPIの最大化にこだわりすぎてしまい、事業全体を伸ばすという視点が抜け落ちてしまうように感じていました。また、将来のキャリアとして事業部長・事業責任者といったポジションを考えた時に、横断する領域それぞれで意思決定の経験があるかということは、組織を率いるにあたって大事になると考えていました。そのためには、ISだけでなく、より広い視野で事業に貢献できる環境やポジションで働きたいなと。

僕が目指しているのは、特定の職域だけでなく事業そのもののビジョンを描き、マネジメントできる人です。そのためにも、より多様な職種において意思決定の経験を重ねられ、職域の枠にとらわれない動き方を求めました。

そして社内外で新しい機会を探していたところ、Wantedlyの記事でたまたまRightTouchを見つけたんです。それで話を聞いてみたら面白そうだと思ったのが、転職のきっかけですね。

代表の思想が現場レベルにまで浸透している“強さ”に惹かれた

――RightTouchに興味を持ったポイントは何だったのでしょうか。

まず純粋に面白いと思ったのが、IS募集の記事をCTOが書いているという珍しさでした。そこでまず「どんな会社だろう?」と興味を持ちました。

ただ、それは入口の理由で、もっとも惹かれたポイントは代表の長崎の記事ですね。事業戦略を考える筋の良さや、思考の強さを感じ取れました。その思考が採用要項にもはっきりと現れていて、実際に働いているメンバーにもその思考性があるのではないかと感じ、一度話してみたいと思いました。

実際メンバーと話すと、全員が戦略的な思考を持ち、自分が軸足を置く職種の範囲やKPIだけを見るのではなく、事業全体を伸ばそうという努力を、話の節々から感じ取ることができました。

「事業」を主語に、俯瞰的かつ戦略的に思考と行動を続けられる代表やメンバーがいるRightTouchの環境なら、自分が望むような経験ができると感じ入社を決めました。

――前職ではマネジメント経験があるにもかかわらず、RightTouchではフラットなポジションから入社しています。懸念などありませんでしたか。

懸念は全くありませんでした。確かに、マネーフォワードではISのマネジメントロールを経験し、そこからさらに上に登っていくキャリアパスもあったかもしれません。しかし、事業全体を見るためにはISやマーケティングの経験だけでは、自らスタンスをとって事業の旗振りはできないと感じていたので、フラットな組織と立場で職種に依存せずさまざまな経験を積めることは、むしろチャンスだと思いました。

――実際に入社してみて、良いと思った点はどんなところでしょうか。

思った以上に温かい雰囲気がありました。

入社前は、代表の野村・長崎のXやnoteの発信からも読み取れるようにかなり左脳的で、ロジカルに淡々と仕事を進める会社なのかなと、勝手に想像していました。

ですが実際には、バックキャスティング(逆算思考)やインパクト思考を重視しているのは当然ですが、一人ひとりのライフスタイルや優先順位をリスペクトし、個人のキャリアにも丁寧に向き合ってくれる温かさがチーム全員にありました。代表の野村が毎週の1on1でキャリアや悩みごとに向き合ってくれますし、それ以外のメンバーも困ったときにすぐ助けてくれる。それぞれに背中を預け合える仲間や雰囲気があることは、いい意味でギャップでしたね。

組織の最重要課題を考え、組織全体で合意形成しながら動かす「イシュードリブン」な姿勢

――この約半年で、実際に取り組んできたこと、特に思い入れのあるプロジェクトなどあれば伺いたいです。

自分のリソースは6〜7割はマーケティングとISで、残りの3割はFS(フィールドセールス)、CS(カスタマーサクセス)、採用面談などに充てています。期待していた通り、幅広い職種・業務にチャレンジできています。

入社してから特に力を入れてきたのは、売上に至る中間変数をブレイクダウンし、課題を定量的に把握できるようにしたことです。これらの分析結果を会議体でフィードバックしたり、関係者が定量ベースで課題を特定できるようにすることで、組織全体がイシュードリブンで動けるような基盤が徐々に整いつつあるように感じています。今後は売上のプロセス分解にとどめず、アップセル / クロスセルを加速させるデータ設計、経営指標のリアルタイム可視化など、事業のグロースに繋がることを、周りの人を巻き込みながら推進していこうと考えています。

――入社してから、実際に仕事をする上で意識していることがあれば教えてください。

特に意識しているのは、「本当に正しいところにピンを立てられているか」ということです。現在の事業進捗・課題に対してどこにリソースを割くべきか、逆に捨てるべきイシューは何なのかを周りを巻き込みながら考え続けています。社内の言葉に置き換えるとバックキャスティングとインパクト思考ですね。

限られたリソースで運営している今だからこそ、組織全体がこのことを意識し続けないと、リソースが分散して事業を伸ばせなかったり、何よりお客様に価値を届けられなくなる危険性があります。組織が大きくなるほど、本質的なイシューを提起して組織を動かすことのハードルは上がるため、小規模な段階から意識することが重要だと考えています。

――確かに、そこは今の規模から取り組みがあるかないかで大きく変わりそうです。

前職では組織が急成長し、変数が爆増するなかで、「正しくセンターピンを立てきれなかった」反省が個人的にありました。だからこそ、今のRightTouchでは、組織の最重要課題は何かを考え、組織全体で合意形成しながら取り組むべきことを決めて動かしていく。そんな「イシュードリブンな姿勢」を大切にしています

一般的なTHE MODELの仕組みであれば、マーケティング・IS・FS・CSと職種ごとに責務・役割・KPIが分かれていて、それぞれの職責を全うするのが基本形です。一方、RightTouchでは各自が「社としての売上」「お客様の成功」にコミットし、そのために何をするべきなのか常に思考し続け、打ち手を展開していく「Business Design」という動き方を大事にしています。なので、代表がインサイドセールスに近い動きをすることがあれば、私をはじめマーケティングに強みのあるメンバーがセールスやサクセスの案件を持つこともあります。、個別KPIにとらわれすぎず、事業全体の売り上げを伸ばすことをメンバー一人ひとりが意識しています。

またBusiness Designを組織全体で体現していく上で、イシューを定量ベースで把握できるようにする、イシューを解くために必要な会議体やマイルストンを設計する、ノンコア業務はシステム化や外部委託を検討するなど、顧客への提供価値を最大化するために、自分たちの頭と時間を最大限に活用できる仕組みが作れているかを大事にしていますね。

――今までの経験で活きていること、逆にアンラーニングが必要だと感じたことは何でしょうか。

活きていることは二つあります。一つは他職種(IS・マーケティング)のプレイヤー経験、ならびにマネジメント経験。自分自身まだまだ至らないところばかりですが、「どうやったら会社の売上が伸びるのだろう?お客様により多くの価値をお届けできるのだろう?」と考える癖がついたのは前述の経験によるものが大きいと思います。

もう一つは、前職の本部長や部長から学んだ、組織を巻き込みながら課題を解決していく進め方やマインドセットですね。スタートアップは短期的に成果を出すことが重視されがちですが、会議体の整備や課題定義のフレームワーク、進捗のトラッキング方法などは、少数精鋭で動く今だからこそ重要になる場面が多いと感じています。

一方でアンラーニングすることも多くありました。そもそも前職はSMB・中堅向け × オンプレミスからのリプレイスがメインとなるモデル。RightTouchはエンタープライズ向け × リプレイスが発生しないモデル(詳細:こちら)。プロダクトの作り方、組織設計、マーケティング戦略、商談の進め方、カスタマーサクセスのアカウントプランに至るまで、何から何まで異なります。そのためほとんどすべての業務で新しいやり方を学ぶ必要がありました。

特にセールス観点での学びは大きいです。エンタープライズでは初回商談で即決することはほとんどありません。平たくいうと、顧客の組織構造やビジネスモデル、重要課題を理解した上で適切な提案を行い、複数の関係者を巻き込みながら意思決定いただけるように案件を進行していく必要があります。前職ではそもそもセールスを経験していませんし、SMB・中堅のセールスとは異なることばかりですが、後述する事業責任者にも繋がる経験であると捉えており、前向きに日々チャレンジを繰り返しています。

Business Designで得られる経験とは?事業責任者になるための思考習慣が身につく環境

――Business Designの経験はどのような特徴があり、どんなキャリアにつながっていくと思いますか。

RightTouchのBusiness Designポジションは、一つの職種に閉じこもらず、マーケティング、IS、FS、CSなど、全ての役割を担うことになるので、自然と事業全体の解像度が上がっていきます。

常に全体を俯瞰して「最優先の課題は何か」「それを解決するために自分がどう関わるべきか」、そして「組織全体をどう巻き込みながら進めるか」と考え続ける必要があります。イシュードリブンな思考と実際に前に進めていく行動力のどちらもが、必然的に求められます。

この思考や行動習慣を日々磨いていくと、組織の規模やプロダクトが広がっていくにつれて事業責任者に必要なスキルが自然と培われていく。そんなイメージを持っています。

――最後に、RightTouchで活躍できる人、仲間になってほしい人はどのような人ですか。

事業を俯瞰しながら、組織全体をあるべき方向へ動かせる人が理想的だと思います。自分自身をチェスや将棋の駒だと考えたとき、盤面全体を見渡して、自分をどこに配置するのが最も効果的かを考えられる人ですね。

具体的には、

  • 臭いものに蓋をせず、事業・組織の課題を解くのが好き

  • インパクト思考でチーム全体で課題を解きにいこうとする

  • 組織・個人のバリューを最大化するために自ら役割を定義し、全うできる

こうした志向性を持っている人だと考えています。

もっと端的にいえば、「自分がこの事業のオーナーだったら、どうするか」を苦なく考え続けられ、自然とそのような動き方をしている人ではないかと。常に事業を前に進めるために何をすべきかを考え行動し続けられる人が、RightTouchには合っていると思います。

(取材・ライター/大久保 崇 編集/緒方 祥子)